こんにちは、ryo(リョウ)です。
このブログでは、元・中の人だからわかる「役所の裏話」や「役所の活用術」などを書いています。
今回の記事は、公務員の管理職についてです。
僕は当初は「将来は管理職になろう」と思っていました。けれど一転、公務員になってみると「ヒラの職員最高!」と思いました。
ただし、管理職になるメリットも多くあります。
実際に管理職になろうと思っていた僕の体験をもとに、裏話も含めて書いています(愚痴っぽかったら申し訳ないです)。
そもそも公務員・役所ってどんなかんじ?という人は、以下の記事も参考にしてください。
それでは「公務員の管理職」について、どうぞ。
公務員として働く中で、管理職への昇進はキャリア形成の一環です。しかし、近年では管理職試験を受けたくない、管理職になりたくないと考える職員も増えているようです。
本記事では、公務員の管理職手当や管理職試験の概要、そして管理職になりたくないと考える理由やその影響について詳しく解説します。
公務員の管理職とは
公務員の管理職は、一般的に「課長」以上の職位を指します。
具体的には、国家公務員の場合、管理職は「室長級」または「課長級」から定義されており、地方公務員でも同様の役職が該当します。
管理職への任用・昇進
各自治体や組織によって異なる制度が存在しますが、一般的には管理職試験や評価制度が導入されています。管理職試験が一般的ですが、どのような方法で昇進が決定するかは、職場の政令によります。
なお、管理職になるとそれ以降(つまり課長から部長への昇進)は年功序列であることが未だ一般的です。
- 管理職試験(昇進試験・昇任試験)
受験可能な職歴を満たし、管理職試験に合格すると昇進できます。
つまり、評価が高い職員が優先的に昇進する、というわけではありません。
試験制度は公務員の職場では一般的です。内容は、別途、記載します。 - 実績や能力に基づく評価
民間企業ではこちらが一般的ですが、公務員には「営業成績」のようなわかりやすい指標が無いため、あまり浸透していません。地味で地道な業務も多くあり「実力主義」の実力を判定できる業務だけとは限らないためです。
最近は、優秀で多様な人材が管理職に就く機会を増やすため、評価による管理職の任用も少しずつですが増えてきてはいます。
僕が所属していた自治体では、試験と評価の併用がされていました。
でも、実際は試験で管理職になる人がほとんど。評価により管理職に昇進する人は少ないため「よっぽど仕事ができる人なのだろう」という期待感、または「ゴマすりではないか?」という視線があるため昇進させる側も難しいのでしょう。
管理職試験の内容と目的
一般的な管理職試験の内容としては、以下の項目が挙げられます。
- 筆記試験
教養試験や専門知識を問う問題が含まれます。特に、法律や行政に関する知識が重視されることが多いです。
なお、経験年数や評価、過去に受験した際の点数によって試験免除される場合もあります。 - 小論文
受験者の論理的思考力や表現力を評価するために、小論文が課されることがあります。テーマは、行政に関連する問題や政策提言などが一般的です。 - 能力評価・評定
受験者の能力や適性を上司等が評価し提出します。または、グループディスカッションやケーススタディが行われることもあります。 - 適性検査
受験者の性格や職務適性を測るためのテストが実施されることがあります。これにより、管理職としての資質が評価されます。 - 面接
最終的には面接が行われ、受験者のコミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力が評価されます。
これらの試験は、受験者が管理職として必要な能力を持っているかどうかを判断するための重要な手段となっています。特に、最近では実績や人事評価が重視される傾向も見られます。
誰でも管理職になれる
上記のとおり、試験が一般的です。
管理職試験の受験に必要な資格(係長○年以上、主任○年以上など)を満たして、その間にしっかりと試験勉強を行い、合格すると管理職になり、その後はほぼ年功序列で昇進します。
試験の合格率は30%前後の組織が多いかと思いますが、何度も受験することが可能なので「管理職になるぞ!と試験を受け続ければ、いつかは管理職になれる」のが実態です。
僕が所属していた自治体では、管理職試験の受験希望者は異動時に考慮してもらえることが多いです。例えば、残業が少ない部署、小論文テーマにしようと思っている部署、企画や管理部署などへの異動希望が叶いやすい傾向がありました。
管理職の仕事内容と管理職手当
管理職の職責
管理職の職務には、部下の育成や部署のマネジメントに加え、業務の効率化や組織文化の醸成も含まれます。特に、部下のモチベーションを高めるための施策や、チームの協力を促進するためのコミュニケーション戦略が求められます。また、管理職は、組織のビジョンや目標を部下に伝え、共通の目的に向かってチームを導く役割も担います。
管理職になることで、より大きな責任を担うことになりますが、その分、組織に対する影響力も増します。
また、公務員ならではですが、直接的な議会対応が管理職の職務になります。
管理職手当
基本給に加えて管理職手当が支給されます。公務員の管理職手当の額は自治体や役職によって異なりますが、月額で約4.6万円〜13万円です。また、ボーナスである期末・勤勉手当にも役職に応じた加算があり、基本給も上がるため、管理職になることで年収が跳ね上がる傾向があります。
給与制度の概要については人事院(国家公務員)のサイトをご確認ください(地方公務員も、基本的に人事院勧告に準じます)。
管理職になりたくない理由
しかし、それでも管理職への昇進を望まない公務員が増え受験者数が減っています。例えば、特別区(東京23区内の区役所)の管理職選考試験(リンクはPDFが開きます)では、受験者数も少しづつですが年々減少し、合格者も必要数を満たしていません。
公務員が管理職になりたくない主な理由として、以下が挙げられます。
- 責任の増大
管理職になると、組織運営や部下の指導など、多くの責任が伴います。 - 残業代の不支給
管理職手当が支給される場合は、超過勤務手当の支給が無い場合がほとんどです。
ただし、残業の有無は部署によります。また、「残業手当が無いから定時帰宅」という管理職も多くいます。 - プライベートの重視
組織のスケジュールに合わせる必要が出てくるため自分の都合で休むことができない場合があります。ワークライフバランスを重視し、家庭や趣味の時間を確保したいと考える人は、管理職への昇進・管理職試験受験に消極的になりがちです。
管理職にならない、という選択のデメリット
管理職への昇進を避けることを選択した場合には、以下のようなデメリットがあります。
- 給与の伸び悩み
管理職手当や昇給の機会が減少し、将来的な収入が限定される可能性があります。 - キャリアの停滞
組織内での昇進が見込めず、モチベーションの低下や業務への意欲に影響を与えることがあります。 - 組織内での立場
年下の上司との関係性に悩むケースも考えられます。
管理職試験を受けるべきかの判断基準
管理職試験を受ける・昇進するかどうかの判断は、個々の価値観やライフスタイル、キャリアプランによります。以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 自身のキャリア目標
将来的にどのような役職や業務に就きたいかを明確にする。 - ワークライフバランス
仕事とプライベートのバランスをどのように取りたいかを考える。 - 組織内での役割
自身が組織内でどのような貢献をしたいかを検討する。 - 収入
どの役職で自分の求める収入を得られるのかを調べる。
これらを踏まえ、信頼できる上司や先輩、家族と相談しながら決定することをおすすめします。
僕の場合
僕が管理職試験の受験を意識した理由
僕は、公務員になった当初、以下の理由から「管理職候補」として扱われていたと思います。
- 経験者採用試験の成績が上位だった
- 成績上位だったため管理部門に配置された
- 業務に真面目に熱心に取り組んだ
上司からは、僕が受験する意思を示す前から、「評価で昇進するより試験合格の方が将来のためには良いだろう(誤解を受けないため)、ストレート合格のために今から勉強したほうが良い」などと言われていました。
僕自身も、「民間企業で、いい成績を上げるために日々努力」するのではなく、「公務員の管理職は試験に合格すればいいだけ」で昇進できるため、管理職になった方が得!と思っていました。
それでも僕が管理職試験を受けなかった理由
僕が所属していた自治体の管理職は、
- 職責を全うする管理職(これが本来で、当たり前のはずですが)
- 住民対応をしたくないから昇進し、全ての業務を部下に任せる管理職
のどちらかでした。試験制度の弊害で、試験に受かっただけの問題のある管理職は公務員には多い。
僕は、運悪く異動で「部下の評価だけが自分の仕事だと思っている管理職」の下で働くことになってしまいました。
その結果、「僕は、今後も働かない管理職のフォローや残務を押し付けられるんだろうな。それどころか責任も負わされるんだろうな。残業の多い管理職に、僕はなるしかないのだろうな」と僕の未来が見えてしまいました。
目をかけてくれていた以前の上司にも相談し(管理職になるメリットを聞きたかったため)、いろいろ自分でも考えたうえで「絶対に管理職にはならないと決意」しました。
プライベートを犠牲にさせられたくない、という思いが強かったです。
まとめ
公務員の管理職への昇進は、給与やキャリアの面で多くのメリットがありますが、責任や業務量の増加などのデメリットも存在します。管理職試験を受けるかどうか、管理職になりたいかどうかは、個々の価値観やライフスタイルによって異なります。自身のキャリア目標やワークライフバランスを考慮し、慎重に判断することが重要です。
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